

GPSの目的、システムの基礎知識を解説
当初は民生用のGPS受信機としては、航空機、船舶、測量、登山用などに利用されておりましたが、近年ではカーナビゲーションシステム、携帯電話、スマートフォン、携帯端末、ノートパソコン、デジタルカメラ、レーダー探知機などにも搭載されるようになり幅広く利用されています。 1.カーナビゲーションシステムカーナビゲーションはGPSの実装において技術的に有利なシステムになります。自動車からは安定した大容量の電源が供給が可能となり、GPS用アンテナを好環境にて設置できます。また本体が大きくても問題が無いため、詳細なカラー地図を内蔵することができます。 しかし目的地への案内を目的としたカーナビゲーションの特性から、地図情報、電話番号、レストランのリストなどのGIS情報の更新に随時追従する必要性があり、データを任意で更新できるような仕組みが備わっているものが標準的になってきています。 また、レーダー等による速度規制取り締まりやシートベルト着装取り締まり等を行っている場所の緯度・経度をデータとして持ち、その近辺で警告を発する機器も存在します。 ![]() 2.航海 船舶にとってGPSは重要な航海術、航法支援システムとなります。航空機同様、陸から離れたら目印を持たない海上において、遭難、衝突や座礁を免れるために、精度の良い航法支援システムを利用することが重要でした。 漁船、漁業用船舶や個人用のレジャーボートに搭載されているGPSでは、魚群探知機と組み合わせて、漁場をマークするなどの機能が付加されているものもあります。 ![]() 3.航空 GPSやGLONASSなどの位置情報を航空機にも使用することが促進されています。 従来の航空機航法は、地上航法支援施設を用い、いわば電波の灯台への方位・距離を測定して現在位置を知る方法でした。これに対し、衛星が4個以上見えていればある程度の精度で絶対位置が分かるGPSは、航空機向けの測位方式であるとも言えます。 しかしながらGPS信号をそのまま航空航法に使用するには、測位の安全性・信頼性・精度等に問題があります。 航空機での精度向上を目的とした、静止衛星型衛星航法補強システム (SBAS: Satellite Based Augmentation System) の運用が以下の各国で開始、計画されています。 * 米国:WAAS (Wide Area Augmentation System) * ロシア:SDCM (System for Differential Corrections and Monitoring) * 欧州:EGNOS (European Geostationary Navigation Overlay Service) * 日本:MSAS (MTSAT-based Satellite Augmentation System) * インド:GAGAN * 中国:CNSS (Compass Navigation Satellite System) SBASでは、GPS衛星の補正情報(特に高度情報の補正)や信頼性情報を送信し、またSBAS衛星自体も測位のためのひとつの衛星として働いています。さらにSBAS衛星は静止軌道にあるため、中~低緯度地方では天頂に近い高仰角でみえているのも有利な点であります(北緯35度では仰角55度)。航空以外の分野でも、例えばビル街でのカーナビの精度向上にも役立つと考えられています。SBASを補助情報として用いることができるGPS受信機はすでにSBAS対応(WAAS対応)受信機として広く普及し始めています。 日本のMSASについては、航空機でのRNAV運用に伴い、2007年9月27日から試験信号フラグ (MT0) が運用モード (MT2) となり、正式に供用開始となりました。ただし初期のWAAS対応機など一部のSBAS対応受信機では、MSASの衛星番号を設定・処理できないため測位に利用できないものがあります。 ![]() 4.科学技術 科学技術分野では、国土の形状を明らかにしたり、cm単位で地球の動きを知り地震予知に役立っています。また大型の渡り鳥アホウドリの2万km以上におよぶ経路の詳細がGPSの技術により明らかになり、野生生態のトラッキング記録にも利用されています。 時刻の高精度同期などにも利用されています。GPS衛星搭載の原子時計からの時計情報も科学分野を中心に広く活用されています。GPSの時計情報はGPS衛星に搭載されている原子時計の精度とほぼ一致し、クォーツ時計の精度よりもはるかに高いです。そのため、野外で正確な時刻を知る必要がある場合や、複数点で時計情報を高精度で一致させる(同期する)ために用いられています。GPS本来の目的である位置決定とは異なる利用法ですが、とくに地球科学や土木工学分野に大きな効果を与えています。 たとえば地震を監視しその震源を高精度に決定するためには、広範囲に多数設置された地震計すべての時計を秒未満の精度で一致させ、100分の1秒の精度が望ましいとされていました。GPS受信機を接続することにより、GPS衛星からもたらされる高精度の時計情報を受信できるようになったため、すべての地震計を容易に時刻同期させることが可能となりました。 地震計に限らず精度の高い時刻情報が必要な場合、計測機器に小さなGPS受信機を取り付けることが多く、また、こうした用途のために各計測機器にGPS受信機が付属している場合がありあす。 このほか、位置が既知の基地局で高精度にGPS測位を行い、その誤差情報からGPS電波伝播経路の大気の状態を知るGPS気象学なども実用化を目指して研究されています。
また人が立ち入ることが不可能な超高温環境、超低温環境などでのデータ採取に用いられています。この際、設置に際してもロボットなどが用いられている場合があります。
9.ゲーム・スポーツ登山用として・・・ もともと緯度・経度を数値的に表示するだけのものでした。これは緯度・経度が正確な詳細地図がなければ登山用として役に立ちませんでしたが、最近では白黒の低解像度の地図を内蔵するものから比較的詳細なカラー地図を表示できるなど進化が進んでいます。いずれにしても電池切れや故障に備え地図と磁気コンパスを携行することは必要になります。 この種のものはトラッキング(移動軌跡)の記録が可能なことより、登山のみならず、グライダー、サイクリング、バイクツーリング等、幅広く使用されています。
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