GPSの仕組みとシステムの基礎知識を解説
GPS(Global Positioning System)は地球全体をカバーする位置測位システムです。GPSは天候に左右されることなく、24時間365日、地球上のどの場所にどの時間にいても現在地を把握することができる高精度な位置測位システムです。 民生用として米国より無料で開放され、誰でも簡単に利用することができます。 正式名称はNAVSTAR(ナブスター)GPS、NAVSTARとはNAVigation System with Time And Rangingの頭文字です。 米国国防省の所有物となりその目的、GPSが生まれた背景には米国、旧ソ連との冷戦時代(1945年頃)今からかなり昔ままで遡ります。 初めは米海軍、空軍により別々に構想が発足され計画が進められていましたが、1973年に両軍が協力して開発に着手しました。この時、NAVSTAR(ナブスター)GPSと正式に名称されました。数年間、衛星打ち上げや失敗、テストを繰り返して初めての実用衛星に成功したのが1989年のことです。 それから1993年にGPSの正式運用が宣言されました。 GPSは手軽に誰でもそのシステムの情報を得られる仕組みであることから、そのまま利用を開放しては悪用される恐れが高くそもそも軍事目的で開発されている経緯などから、軍事用と民生用に分かれています。民生用の利用を許可するにあたっては本来の測位性能から、意図的に精度を落とす人為的誤差(Selective Availability、略称 SA)が加えられていましたが2000年5月に米国はGPS技術を広く世界に役立てて欲しいという主旨でこれを解除しました。SAが加えられていた時には100m以上もの誤差がありましたが、解除以降は数十mまで精度は向上しました。 GPSはどのようにして位置情報を得ているのか?GPS衛星からの信号を受信機側が取得して位置を割り出すのですが、受信の方法にも種類があり、単独測位という1台の受信機だけで自分の場所を測位する方法がありほとんどの場合、こちらの単独測位にて位置を割り出しす仕組みとなっております。その他にもDifferential GPS(相対測位方式)やReal Time Kinematic GPS(干渉測位方式)などのあまり馴染みのない測位方式、仕組みもございます。DGPSなどでは単独測位受信機を移動局としそれと相対する固定局側からの位置情報の情報もあわせておこなうことで位置の補正をおこなうというものです。主に測量などより高い精度を求める建設業様や研究機関様でこのDGPS測位を用いていることが多いです。 単独測位での位置情報の求め方は、簡単に説明するとGPS衛星とユーザー様がお持ちになっているGPS受信機までの距離を測っております。衛星からの距離を知るだけでは位置を求めることはできません。GPS衛星から送信される電波のなかには航法メッセージと呼ばれるコードが含まれております。このメッセージにはGPS衛星がどのようにして宇宙空間を飛んでいるかという情報が含まれております。GPS受信機はこの送られてくる航法メッセージを解読することでGPS受信機側はGPSとの「距離」と「位置」を得られることになります。衛星が2個受信できれば2次元での測位ができGPS衛星が3個になることで3次元での位置も知ることができるようになります。3次元は緯度、経度、高度の情報ですので、3つGPS衛星を受信できれば良いのか?というと簡単にそうではなくさらに第4の情報として時の情報が必要となります。時の情報は先の説明で書いたGPS衛星とGPS受信機との間の距離を求める際に信号が送られてくる時間差を利用することから必要な情報となります。ですのでGPS衛星から位置を割り出す為には最低4つ以上のGPS衛星からの信号を受信しないといけません。 普段GPSを使う時には上記のような仕組みが処理されていることなど深く考えたことはありませんが複雑な仕組みで位置情報を割り出していることには変わりはありません。高度2万mの上空にあるGPS衛星の信号を受信するだけでも個人的には凄いことだと感心してしまいます。 さて、現代で利用されているまたは計画や試験段階にある測位システムには、GPS以外にもGLONASS(グロナス) ロシアの衛星、GALILEO(ガリレオ)ヨーロッパ共同体による衛星、IRNSS インド、北斗/BeiDou 中国など様々なものがあります。これらを総称してGNSSと呼ぶシステムとなります。 GNSSとは、Global Navigation Satellite Systemsの略で、日本名は全地球航法衛星システム(または全地球測位システム)などと呼ばれてます。簡単に説明すると、人工衛星を使用し地上の現在位置を計測する「衛星測位システム」で、全地球どこに居ても測位することができるシステムです。 全地球測位システムの代表的なシステムとして、米国が運用しているGPSは言うまでもないと思います。また、2011年にはロシアのGLANOSSが全地球測位システムとしての稼動を開始しており、GARMIN GPSの製品ではいち早くGLONASS対応もなされております。 期待が高まるみちびき衛星そして、日本でも準天頂衛星/QZSS みちびきという名称で測位システムの開発が進められています。開発には、はやぶさで広く知れ渡る宇宙開発研究機構(JAXA)ジャクサが携わっています。 日本の準天頂衛星は、全地球をカバーするという目的からは少し意味合いが違い、日本だけでの利用を目的としたローカルな地域測位システムの考えで計画が進んでおります。(2015/1時点) 準天頂衛星システムは当初の計画は、通信・放送・測位の3つの分野のサービスを融合したもので、官(=国)と民(=民間)の連携により、民間が衛星の開発と通信・放送分野の事業化を行い、測位分野はJAXAをはじめとする国の研究開発機関が、高精度な測位システムの実現に必要な技術開発・実証を担当して民間がその事業化を行う予定でした。 しかしその後、通信・放送分野における民間事業化断念を受け、準天頂衛星システムの計画見直しとなり、衛星測位システムが将来的にさらに重要性が増すという考えから、まずは国が主体となって測位単独の『準天頂衛星システム計画』を立ち上げることとなりました。GPS製品を扱っていた弊社としてはとても喜ばしいニュースでした。 そして 平成18年3月31日に「準天頂衛星システム計画の推進に係る基本方針」(測位・地理情報システム等推進会議)が示され、これに基づき、準天頂衛星システムは、段階的に計画を推進することが決定しました。まず第1段階として、1機の準天頂衛星により、GPS補完・補強に関する技術実証・利用実証を行うことになりました。 第1段階の技術実証・利用実証に引き続き、今後初号機を含めた3機の準天頂衛星によるシステム実証を行う第2段階へと進む計画のようです。(2015/1月時点の文面ですので今後に期待が高まります) くり返しとなりますが何故、測位システムを使うと現在地の情報が分かるのか?これは他のサイトで詳しく解説されておりますが、簡単に要約すると上空を飛び交う衛星から発信される情報(電波)を受信機(GPS端末など)が受取、位置を割り出しす仕組みとなっております。衛星はGPS測位システムをはじめ数十以上(百以上かもしれませんが)もありますが、位置を割り出すには4基の衛星から受信をおこなうだけで可能です。数ある衛星の中でより良い条件の情報を使うことで位置の精度は高まります。またよりたくさんの衛星を受信できれば、その分衛星を見失うことが少なくなるので受信も安定します。 近年、GNSSシステムの開発が各国で進められていることでGPSやGLONASSなどより多くの衛星を受信できる商品も増えてきているので一昔前よりは条件良く測位ができます。しかし、測位システムには誤差がどうしてもついてまわります。 弊社で販売しております製品では測量用途のGPSレシーバを除き、水平精度で10m前後の誤差が発生してしまうものです。近年ではGPS/GNSSアンテナ、チップの性能が増し誤差は小さくなりつつありますがそれでも2,3mほどの受信精度が市販されているものの中では限界となります。 GPS販売を15年以上おこなっている弊社では、お客様が求められているご利用方法などに応じて商品提案させていただております。何かご不明な点などございましたらお気軽にお問い合わせください。
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